46回目の夜に(ジャズとビスポークシューズの相似点)

昨日私の誕生日でした(46歳)。

たまたまAvishai Cohen Trioというジャズバンドの大阪でLIVEが行われると知り、直前まで迷っていたのですが、行くことにしました。

気付いてらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、工房でBGMとしてかけている事もあります。

正直最近の動きは追ってなかったのですが、昔の曲もやってくれるかなという淡い期待を胸に予約。(ポチッ

前日に以前から観ようと思い、先延ばしにしていた映画「BLUE GIANT」を予行演習として鑑賞。

良いとは聞いていたが、想像以上に素晴らしかった。胸に迫るものがありました。

ジャズへの向き合い方が人それぞれあって、我々靴職人でいうところの靴への向き合い方と通ずるところがあるなと。

主人公たち若者がひたむきに練習、挫折、そして日常生活というのを繰り返しているのを観てると、昔を思い出し、初心に帰ろうと思いました。(これは当事者サイドだと共感するのですが、焦燥、高揚、落胆…などいろいろな感情が駆けめぐるんだろうなと)

また技術の巧拙ではなく、向かっていく気持ちの重要性を問うシーンでは、我が身を振り返り、自問自答しました。昔に比べて多少技量はあるのかもしれないけれど、当時の気持ちの強さを持てているのか?(悪い意味で)慣れていないか?と。

構成として、関係者が当時を振り返るシーンというのを入れているのがリアリティがあって良かったですね。たまにそういうドキュメンタリーを観るので、「おー、よくあるシーンだw」と。

ということで、前日にすっかり仕上がってしまった訳ですが(笑、

1ドリンク付きのカジュアルエリア。右斜45度(逆デルピエロゾーン)でちょうどピアノ、ベース、ドラムの手が見える好ポジション。(座席は検討した甲斐がありました…後述のトイレの位置との兼ね合い

歳とったせいか頻尿気味で、映画館に行くのもストレスを感じるようになってきたのですが、今回は大丈夫かしら…と(そのくせ黒ビールを頼んで…) 演奏中1度だけトイレに行ってしまいました…ですが、トイレまで音は聴こえているので、映画のようなブツギレ感はなかったのが幸い。

客層ですが、早い時間帯だったせいか、高齢の方が多かったように思うのですが、皆さん上品でお洒落で余裕のある感じで。この方たちはKHの靴を知らないんだろうなぁ。履いて欲しいなぁ。まだまだ頑張らないとなぁと思いました。


で、肝心の演奏ですが、良かったです。

工房でBGMとしてかけている昔の曲もいくつか聴けて、感動しました。

客席と演者の一体感、この時この瞬間の熱狂、その一部になれた事、嬉しく思います。

ベース、ピアノ、ドラム、それぞれが相手をリスペクトしつつ、自由に自分を表現してる様を観て、自分の靴ももう少し自己表現、主張しても良いのかなと思いました。

これはビスポークという業態ゆえ、注文主に合わせて靴作りをしているというのが大きいのですが。また意図的にこれといったスタイルを打ち出してないのというのもあります。

今後既製品を出すならどうするかなぁなど考えました。

そういえば最近「有名ポップアーティストの東京ドーム公演で客席から見えない」という話がありましたが、音楽におけるジャズの立ち位置と靴におけるビスポークシューズの立ち位置は結構似ているのかもしれないと感じました。今回「こんな近い距離で予約も取りやすくこの金額で良いんですか?」と思ったのですが、それはマイナーな部分が影響してるのかもと。ジャズはポップスやロックと比べると限られた人々の中で楽しまれている印象があります。敷居が高いというか。これはビスポークもそうだろうと。でもその中に飛び込んでみて、良さがわかると内容から考えると案外価格も妥当、もしくは安く感じる事が多いし、職人との掛け合いも楽しめるようになるとその価値はプライスレス(MasterCard)…

と、まぁ何かにつけて自分の仕事と関連付けて見てしまうのですが、結局言いたい事は注文を下さいという事です。(お待ちの方々、もう少しお待ちください…やってます